おまけー台湾の状況と日本バスケットボール協会問題点(個人的意見)

台湾の状況と日本バスケットボール協会問題点(個人的意見)

 2013年12月、国際バスケットボール連盟(FIBA)は日本バスケットボール協会(JBA)に対し、①JBAのガバナンス(組織統治)の確立、②日本男子代表チームの強化、③2リーグ並存状態(NBLとbjリーグ)3点を主とする改革を要求された。②と③ばかりに注目されるが、実は①JBAのガバナンスも重要な問題なのである。世界的に新学期は9月からなのである。世界の新学期は9月がほとんどであり、北半球の国は7月・8月は夏であり休む。その為9月新学期が適切、日本でも1920年まで、帝國大學や旧制高等学校は9月が新学期であったようだ。
 FIBAとしてはこの夏休みの時期にアンダーカテゴリーの地域(5大陸)ならびに世界での強化の為に大会を開催し、低年齢のうちに世界を経験させ、若年層から強化をしたいというのが狙いである。世界全体のバスケットボールのレベルUPはアンダーカテゴリー国際試合(U16、U18、U24‐Universiade)等がこの夏休みの時期に開催される。しかし、日本のバスケはどうか?まず、夏休み開始が遅い。そしてこの重要な時期に所属する高校体育連盟(以後高体連)が主催する夏季全国大会(インターハイ)が存在する。今年の男子の場合、U16男子TEAMがASIAを勝ち抜き、今年ドバイで開催された第3回FIBA U17男子バスケットボール選手権に出場。しかし、インターハイ決勝進出2高より日本代表に計3名選出されており、決勝に参加できずU17に旅立った。当然U17 男子日本代表TEAMの選手・スタッフはインターハイに出場しているTEAMの主力の場合が多く、全体練習もままならない状態で世界とGAMEしなければならなかった。結果は参加16国中14位という結果であった。ただし若年層は今まで達する事ができなかった世界大会に参加する事ができ、2020年東京開催のオリンピックまでには、世界と肩を並べる事ができる人材がいると思う。

日本の高校バスケの現状

 私は東京都の高校出身であり、過去東京の強豪校に非常勤講師として勤務した事がある。その頃と現在と状況はどうか?というと正直もっとひどい状況だと思う。東京都高体連男子バスケットボール専門部に加盟する高校は318校、東京都高体連バスケットボール専門部会に加盟する高校は325校。合計(同じ高校で男女バスケ部がある場合はあるが)643校である。東京都のサッカーについて調べてみると東京都高体連サッカー専門部に加盟する高校は313校。これはバスケットボールと同等である。ただし女子は東京都女子サッカー連盟高校部会に所属(高校体育連盟ではない)加盟する高校は46校である。合計359校、学校数で55.8%である。東京都高体連男子バスケットボール専門部が年間に運営する大会は、4月より関東大会予選、インターハイ予選、新人戦支部大会、ウインターカップ予選、新人戦本大会、支部対抗選抜大会。関東管轄の大会は関東新人戦、春季関東大会、ミニ国体。そして全国大会はインターハイ、国民体育大会、ウインターカップと12大会である。強豪上位高は1年中試合もしくは大会会場、コーチは大会役員&審判。そして、弱い学校はトーナメントなので年間数試合。他県のように強豪校は他県遠征や海外遠征などできる暇はなく、東京都の公式戦GAMEばかり〜弱いTEAMはトーナメント1回戦でさようなら。バスケを引退しても好きになる訳がない。強豪校は強豪校で関東大会2回旅費交通費、インターハイ旅費交通費、ウインターカップは東京開催なのでここは自宅より試合出場。ただし全国大会出場となると最近は御父母も応援に行かれる事が多いようで、バスケをするには用具代を含め相当な出費となる。上位高出身のメンバーも主力メンバー以外は、もう良いかな?というのが現状ではないかと思う。東京から日本代表選手があまり出ないのはこんな理由があるかも知れない。

台湾の例を参考に

 台湾の甲級、乙級の差は何か?台湾バスケ関係者に聞いてみた。理由は、甲級に行きたいと学校がエントリーする。去年までは甲級だが予算・選手・コーチ・学校の都合で乙級に降りる。またその逆もある、今年は乙級だが学校・地元企業・卒業生達が予算を集めるので甲級へという場合もある。ただし、レベルの差はあるのでいきなり優勝などはなく、最初の資格賽で敗退する可能性が非常に高い。学校は甲級で強化するには、毎日練習できる体育館を確保したり、専門のプロコーチやアシスタント・コーチを雇ったり、トレーナーと契約したり、また遠方から選手を勧誘するために宿舎や食事の準備をしたり、台湾内強化遠征の費用を捻出したり、また強くなれば資格賽、預賽、複賽、準決勝賽がリーグ戦なので(複賽は高雄開催、それ以外は台北開催)なので台北市・新北市以外の学校は旅費交通費・宿泊費用・食事代が必要になる。台北近郊のTEAMでもバスケットボール部専用の移動用BUSを持っている場合も珍しくない。
 台湾は九州に匹敵する広さである。JAPAN 2024 TASKFORCEのガバナンスの問題の解決案も何も出てこない。川淵・チェアマンから新リーグのプロTEAMがユースを補えばよいとか、学校の先生は、よいコーチがいないので、プロのコーチを派遣すればよいとか?訳の分からない話しか出てこない。体育大学出身なので言わせてもらえれば学校の先生でも優秀なコーチはたくさんいらっしゃる。強い・弱いではない。よい環境にいれば今まで以上に成果を出せる人(コーチ)である。アジア方式(台湾・韓国・中国などでは一般的強化方法)の甲級(高校立候補制+プロTEAMユース)のリーグと乙級(現在の高体連に近い大会運営)の2つに分ける方法があるではないか?誰でも参加できる仕組みは残し、選ばれた選手たちが強化され、全国でまたアジア・世界で通用できる強化はこの方法がアジアでは一般的である。


その他の問題点

 ただし2重登録はよくない。台湾であったケースではコーチが変わるから元のコーチに付いていって転校。こんなケースが出てくる。台湾では選手1年間出場停止である。ただし、この学校・コーチと合わないので転校は有りですし、乙級の学校から甲級の学校への転校(コーチをともなわなければOK)というルールを作ればよい。また新入生入学には必ずセレクションを実施。選手スカウトの金銭授受などの問題も考えられる。スポーツ・メーカーからの公式スポンサーとしての金銭・物品授受や地元優良企業からのスポンサード(ユニフォームに企業名を入れる)等bjリーグが行っている会社運営方式が明解である。お金が集まらなければ甲級でできない。スポーツの強化には、現在お金がかかるのである。サッカーと違い川淵・チェアマンがおっしゃっている2重登録は成長時期にある選手には、基礎体力の差による肉体的損傷を起こす可能性大だし、TEAM内のガバナンスがうまく機能しなくなる。大学在学中にリエントリー制度で大学に在学するが、プロTEAMに所属する(所属させてくれるTEAMがあり、サラリーをもらえるのであれば)方法も可であるし、台湾の大学であるような大学生の転校も日本の大学でも認めるべきである。サッカーは個人技が多い団体スポーツであり、バスケは団体スポーツの中の個である。スポーツの特性が違う中で、サッカーと同じ事を進めるのはあまりにも危険である。
 以上あくまで海外(台湾)のバスケを勉強する中での個人的な意見であります。いち早く日本バスケットボール協会(JBA)が国際バスケットボール連盟(FIBA)の国際交流試合禁止措置の解除し今後の日本バスケットボール界の発展、2020年の東京オリンピックにおける日本代表・男女の活躍を心より祈っております。