第103年度甲級台湾高校バスケHBL松山高中優勝-①

第103年度HBL總決賽 松山高中、淡水商工優勝

2015年3月7日8日 台北小巨蛋(台北ドーム)にて、台湾高校バスケHBLの総決算‐總決賽(7日準決勝、8日3位決定戦と決勝)が開催された。男子は台北市立松山高中、女子は新北市立淡水商工が優勝で幕を閉じた。

優勝した両校・当社のアテンドで2014年11月石垣島にて開催された琉球ゴールデンキングスが主幹する離島バスケットボールキャラバン2014「やいま国際バスケットボール親善試合」に台湾から参加させて頂いた。男子は沖縄強豪の小禄高校、女子は西原高校と対戦できた。また、石垣島の高校とも対戦。沖縄独特の平面的な非常に速いバスケットボールを体験する事ができ、また台湾と石垣島非常に近い高校生との交流もできた事が技術以上に人間としてもプラスになった親善試合であった。

琉球ゴールデンキングス 安永GM ありがとうございます!

残念な事に2014年12月にはFIBAの制裁としてJBA(日本バスケットボール協会)所属のTEAMの国際交流試合の禁止という通達が出ている。もし12月以降の開催だったら、松山高中、淡水商工のHBL優勝はなかったかも知れないと思うと、若年TEAMの国際交流は非常に重要である事を感じる次第である。

台湾高校バスケHBLの仕組み

簡単に台湾の高校バスケ事情を説明する。日本は学校教育の一環でどのTEAMも全国大会のTOPに立てるようなトーナメント形式で都道府県予選、全国大会へと進む仕組みである。台湾は違う。第103年とは台湾の年号民國103年(2014年9月〜8月まで)の意味である。
まず甲級(上級)と乙級(下級)に分かれる。全員が全国大会甲級のチャンピオンになれない。乙級はあくまで乙級のチャンピオンである。2つの優勝校がある訳である。日本はインターハイ、国民体育大会、ウインターカップ等年3回チャンピオンを決定するが、台湾はHBL總決賽の1回だけである。
男子の場合第103年の仕組みを簡単に説明すると、甲級27校、その他は乙級となる。乙級でも学校によってバスケットボールTEAMがない学校もある。日本の場合、施設の関係で野球部やサッカー部、ラグビー部のない学校があるようにそれに等しい感覚であり、男子はあるが女子はなしとか、その逆もある。ある意味日本の方がバスケットボールをできる環境である事に間違えはない。
甲級男子の場合27校の内、昨年BEST8に入った8校を除き、19校で資格賽が11月前半開催された。次の副賽に行けるのは19TEAM中8TEAMのみである。決勝に進出した泰山高中はこの資格賽を勝ち抜いてきたTEAMである。次は11月末に預賽、16校を4校4グループで作りリーグ戦を行う。グループ3位まで(合計12校)が次の複賽に進出。12月の複賽は、6校2グループでリーグ戦。各上位3校は自動的に準決勝賽と下位各3校は再度トーナメントをして2校のみ、合計8校が準決勝賽に進出する。翌年2月に開催の準決勝賽は8校によるリーグ戦。上位4校が、今回開催された總決賽、土曜日は1位と4位、2位と3位がGame、土曜日の勝者同士で決勝となる。今回決勝に進出した泰山高中は決勝まで20連勝。HBLの連勝記録を更新した。非常に強いTEAMだと言う事がわかる。

私と松山高中・黃教練の関係

私と松山高中・黃(Huang)教練(監督)との親密なお付合いが始まったのは、2014年3月3日からである。関東学生選抜TEAMが台北遠征をし、練習場に松山高中体育館をお借りした事からである。理由は、通常天母の台北日僑学校の体育館を借りて練習するところ、体育館の床張替工事の為、体育館が使用できなかった。たまたま我社が2013年7月に松山高中の隣に引越をし、ダメもとで黃教練にお願いしたところ快く借用させていただいた。今年の台湾高校バスケHBL總決賽から数えて丁度1年前からである。結果、この1年間松山高中がHBLで優勝するまでの1年間を看る機会に恵まれた。2014年のHBL男子は能仁家商が優勝。松山高中は準決勝賽で6位、總決賽に進出出来ず2月12日で終了している。ただし、準決勝賽では優勝した能仁家商に延長戦で勝利している。
私が初めて観た松山高中は、2014HBLのメンバーから主力3年生6人が抜け、新メンバーになったばかりからである。日本の関東学生のメンバーとスクリメージをやったがボロボロの状態だった。ただし、関東学生を率いていた拓殖大学・池内監督にシュートについて事細かに質問をしていた。日本代表の名シューターに聞けるチャンスはなかなかない。非常に熱心なコーチである。この時池内監督に教えて頂いた事を1年間実行し続けた。結果#13陳偉錚#9李繇宸 2枚のアウトサイド・シューターを育て、バスケ経験2年のセンター#15孫思堯のフリースロー(成功率62.7%)が優勝の原動力になっている。

拓殖大学・池内監督

その後、東海大学・台北遠征、日本体育大学・台北夏合宿と松山高中にお世話になる事になる。黃教練は日本のトップ大学生とのスクリメージをし、終了後は陸川監督、藤田監督に熱心に質問する謙虚な態度は変わらなかった。ただし、この頃の松山高中の選手達はどうなの?というと正直黃教練に無理やりやらされている感じ・・正直、台湾HBLのChampionになるようなTEAMではなかった。

東海大学・陸川監督

台湾代表オーティスコーチと日本体育大学・藤田監督

日本体育大学と練習GAME



2014やいま国際バスケットボール親善試合in石垣島

11月13日〜17日離島バスケットボールキャラバン2014「やいま国際バスケットボール親善試合」石垣島にて沖縄県立小禄高校と2GAMEする。今年の初公式戦預賽、1週間前である。小禄高校は激戦の沖縄県予選を勝ち抜き、2014年千葉で開催された南関東インターハイでBEST8の競合である。ただし、GAME前まで日本のBEST8、自分達の方が強いでしょ?なんせ平均身長175、松山高中は185、10㎝違う。公式戦前の調整程度と考えていたであろう。しかし沖縄バスケは早い、台湾でも早いTEAMの松山高中も早さについていけない。15日の予選リーグは、前半20点差、結果102‐104で敗退である。この負けが非常に黃教練ならびに選手達の起爆剤になった。自分達のディフェンス&アーリーオフェンスより早いTEAMがある。第一段の「目覚め」である。翌日の決勝戦では、92⁻89 3点差で勝利し、台湾帰国。預賽D組を迎えることになる。

第一試合小禄敗北後の伝説ミーティング

2試合目沖縄県立小禄高校に勝利〜目覚め!

石垣島→沖縄→桃園 無事帰国 いざHBL〜🏀


松山高中103年HBL予選開始

預賽D組は、三重商工、青年高中に快調に勝利するが、南山高中のゾーンプレスを攻めあぐねまさかの74⁻85、11点差で敗退。ただし、台湾バスケのよいところで1回負けても終わらない。D組2位、預賽は各組3位までが12月高雄で開催される複賽に進出できる。
複賽では預賽で敗れた南山高中に83‐69 14点差で勝利。(南山とは103年計4回対戦する事になる)波に乗り、預賽はA組5勝全勝TOPで次の準決勝賽に臨むことになる。ある意味、鼻高々状態だったのだろう。
しかし、高校生。次の準決勝賽では、コンディションの悪さと強豪TEAMとの7連戦の疲れから、南山高中に66-80、能仁家商に61‐60の1点差、決勝で対戦する事になる泰山高中にも80-79にも1点差で4勝3負。新榮高中、能仁家商との得失点差と対戦成績により、準決勝賽をギリギリ3位で通過である。まさに綱渡りで總決賽を手に入れた。預賽が第二の「目覚め」だとすると、準決勝賽は再度バスケの神様に「谷」に落とされた。

目覚めよ〜松山高中〜谷があるから、山がある〜🏀


台北市立松山高級中學校とは・・・

松山高中とはどんな高校なのか?台北市信義區にある台北市立の公立高校である。黄萬隆が指導を始めて20年、黃教練は松山高中の教員である。86・87年には、台湾バスケ界のスーパースター・陳信安を育てた。97年HBLで公立高校として初優勝、その後、98年、99年と3連覇した。HBLで3連覇は松山高中だけである。
2014年07月中国武漢で開催されたASIA-CUPでは台湾代表のアシスタント・コーチを勤めた台湾バスケ界の名コーチである。過去にはSBL‐TEAMの監督や台湾代表アンダーカテゴリーの監督経験もある。ただし、非常に熱いコーチである。ただし今シーズンのHBLは冷静なGAME運びであった。朝通っている「YOGA」のお陰か?特に決勝戦は、素晴らしい逆転であった。約9/10は泰山高中が支配したGAMEを残4分で追い付き、残1分で逆転勝ちを収めた。黃教練の冷静さと選手を信じる心、それに答えようと成長し続けた結果が今回の優勝に繋がった。HBL優勝TEAMでも、4回負けている、山あり谷ありの今シーズンHBLでコーチと選手が一つにまとまった結果の逆転劇であり、優勝である。
選手は当然公立高校なので、私立高校に比べ特別な待遇は少ない。日本の高校バスケとの違いは、バスケットボールTEAMに入る為にはセレクションがあり、まずその関門を通過と共に入学試験にパスしなければならない。台北市内出身者は自宅より通学するが、自宅より通学不可能な選手は学校の近くで共同生活を送っている。食事は、黃教練の奥様 林さんが毎日提供している。まさに手作りのTEAMである。日本との違いはまさに「選ばれた権利」の選手がHBL甲級のバスケットボールを出来る訳だ。私立高校であれば色々は補助がある部分を、公立高校の松山高中は黃教練夫婦の援助と選手の御両親達の経済的援助で成り立っている。ただし、バスケットボール用品(ユニフォーム、練習着、シューズ等)はHBLのメインスポンサーである台湾NIKEが行っている。

第103年度甲級台湾高校バスケHBL松山高中優勝-②へ続く
http://d.hatena.ne.jp/worldblogtaipei/20150316/1426512966

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