台北最新ラーメン事情2012総集編-Ⅱ

台北最新ラーメン事情2012総集編-Ⅱ

2012年は「台湾における日本ラーメン元年」

◎客単価は?
 台湾と日本の違いを少しお話したい。日本の場合は、ラーメン +餃子 もしくはミニ炒飯、白飯という組合せが多い。また、夜の御客様(特に男性)はビールを飲んでいる方をよく見かける。台湾ではどうか?セットという販売が一般的である。ラーメン+ソフトドリンク+セット料理(餃子、唐揚、サラダ、トンカツ等)で通常注文するより割引し、お値打ち感を出す販売である。
ラーメン1杯+セット構成率(何%)が客単価に近いと推定される。私はまず独自の方法で7つのラーメン店のメニューを分析し、ラーメンのみの客単価を算出した。この方法は、メニューブックにあるラーメンメニューの金額(営業税含む)を足し、メニュー数で割る方法である。誠に申し訳ないが店名はA〜Gで表記させていただく。


らあめん花月嵐 とんこつチャーシューメン

① 2012年11月台北ラーメン価格比較

店名 最低NT$ 平均NT$ 最高NT$ 最低¥ 平均¥ 最高¥
A 176 210 275 510 609 798
B 209 263 319 606 763 925
C 180 230 330 522 667 957
D 209 285 385 606 826 1,117
E 220 242 253 638 701 733
F 176 224 253 510 650 733
G 230 282 360 667 818 1,044

AVG 200.0 248.0 310.7 580 720 869.9

全体のラーメンのみの客単価は、NT$248 (約¥720)である。
この数字に、セットもしくは単品料理、御飯物、アルコール(実際0.1%前後)の客単価に構成費係数(予測)で入れると私の予想では下記のようになる。

拉麺誠屋 鶏醤ラーメン 

 店名 NT$客単価 客単価推定¥順位
A 240.3 696 1
F 247.7 718 2
C 259.8 753 3
E 271.5 787 4
B 292.7 849 5
G 306.5 889 6
D 340.8 986 7

AVG 279.9 811
 
 まず注目はラーメン価格の最低価格、今年CS(百貨店含む)に出店したお店はNT$200オーバーが多い。これはCS(百貨店含む)の家賃形態が部率家賃(売上に対し%で家賃設定)のため、家賃比率が平均25%前後と思われ、これが販売価格を押上げている。実際、顧客はメニューの最低価格を注文することが多い。
 顧客1人当りの客単価推定も同様で、新規進出のお店の客単価推定はNT$300に近い価格になっている。アルバイトの最低時給NT$105、台湾人平均の1時間当り時給NT$238よりオーバーする。日本ではラーメンは一般食だが、台湾では日本ラーメンはハレの日に食べる食事となる。デートでラーメンを食べると仮定すると男性が2人分を支払う。客単価NT$600とすると、社会人で2.5時間、アルバイトで6時間相当の収入をラーメンに使うことになる。今年度進出し、行列をなす状態は、まさにブランドショップとしての位置づけであり、台北以外の遠いところから来て並んでいる、まさに、手の届く非日常(日本に行くよりも安い)なのである。

麺屋 縁 ラーメン

◎日本ラーメンの台湾におけるポジショニング

日本のバイトの平均時給(全国平均)は¥1,000なので日本のアルバイトは1時間働けば日本でラーメンを食べられるが、台湾のアルバイトの場合、約2時間。台湾人の一般時給がNT$238なのでラーメンはまだまだ一般的な食事にはならず、ハレの日に食べていることが判る。ただし、6〜7年前日本から進出した、大戸屋、和民(ランチタイム)COCO壱番屋、さぼてんも同じような価格帯なので、営業努力により多店舗化の可能性は非常に高い。現在、6〜7年前の日本レストラン組は各社とも15〜6店舗出店している。

台湾の牛肉麺に勝てるか?ぐらいになって戦争!
まだまだ、市場規模からしたらブランド食です!!

◎2012年は「台湾における日本ラーメン元年」

 2012年を総括すると、台湾の食文化における日本ラーメン元年という位置づけになると私は思う。実は、私が来台した2002年前後にも、日式拉麺(あえて漢字で書きます)ブームはあった。台北のいたるところに、台湾の方が経営する日式拉麺店が混在していた。そのお店は、今ほとんど見当たらない。前出の6〜7年前、日本レストランチェーンが進出した時、日式日本料理が淘汰されたように、台湾一般庶民は日式拉麺ではなく、日本ラーメンを望んでいるのだ。年間100万人の台湾人が日本を旅行し、日本ラーメンを食べる。台湾一般市場は日本ラーメンの進出を待ち望んでいたのである。
 雑誌や新聞、TVでは「ラーメン戦争」という言葉で持ち上げているが、正直、会社(店舗)数は出店したが、前出の日本レストランチェーンのように一般的にはなっていない。ラーメン戦争なんておこがましく、多店舗化してこそ、そこで台湾麺との戦いが始まる。まだまだ戦いにもなっていないのが実情である。
 ただし、来年2013年にも日本から進出するラーメン店は数多くあると思う。ラーメンは地域性の強いものなので一言でラーメンというが、北海道のラーメンと九州のラーメンは別物である。まだ、進出していない地域ラーメンはチャンスがある。また、いろいろな方々から質問されるが、実力のないお店・会社は淘汰されることもあると思う。そうならないために、何が必要か?Q・S・Cの徹底と、各企業・本部の事なき品質の追及と価格戦略・量目戦略にかかっている。あるお店では、大盛無料や麺の量が無料で選べる方法を取っているところもある。また、ラーメンに五穀米や白飯を入れて食べる提案をするお店が出てきた。いかに差別化できるか?も課題である。客単価を下げる努力をし、マーケット規模を拡大できるか?そのためにも、高収益になるような仕組み作りに取組む必要がある。

一風堂 白丸 海苔トッピング

◎私が思う日本ラーメンのQ・S・C

 ラーメンは、スープ+麺+トッピングで構成されている。商品のQ(クオリティー)の部分では、スープの味がぶれないことが重要だが、ぶれる要因の第一は麺茹でにある。きちっと決められた時間・温度で茹でることのできるオペレーション、茹でた後の湯切りができるか?スープの温度は熱いか?トッピングはきれいに盛付できているか?などなどである。台湾人は塩っぱいのが嫌いとか、硬い麺がダメ。最初から、また従業員が勝手に変えてしまうことがあるが、それは間違えである。それならば、御客様の要望を注文時にキチッと聞けばよい。これは、S(サービス)にもつながることである。
 S(サービス)においては、日本のラーメン屋さんと違い台湾市場では、ハレの場にラーメンを食べるわけで、日本以上のサービスが望まれる。サービス料を取る、取らないの問題ではなく、日本の文化、元気のあるキビキビした対応と感謝の気持ちが出せるか?が重要なポイントです。人数が多いだけでなく、教育&トレーニングされた従業員で生産性が負える体制ができ、尚且つ日本のおもてなしの心を出せるかです。ラーメンは寿司と並ぶ日本食文化の継承であると思います。C(クリンリネス)も同様であります。現段階で入口が汚かったり、従業員に清潔感のないお店は淘汰されるでしょう。

◎2013年は?どうなる?

 当然、まだまだ日本からラーメン屋さんは台湾に進出するでしょう。日本市場は人口減少により益々小さくなり、収入も増えない。売上も増えない。海外展開できるか?どうか?が現在日本でう力がある企業の成長で非常に重要なポイントになるでしょう。また、2012年進出した企業も多店舗化できる 人・物・金のノウハウを蓄積し、活用できるか?店舗数を増やせるか?が問題です。一番の問題は人でしょうか?
 私の予想で来年起こることは、台湾の人達が、日本ラーメン屋で働いている人をスカウトし、お店をやらせるという コピー日本ラーメン屋さんも沢山開店すると思っています。
そのためにも、スープ・麺の隠す部分を持っていないとマネされてしまいます。
 もうひとつは、日本のラーメン以外の麺文化の進出です。うどん、蕎麦、スパゲティー等々がどんどん進出してくると思います。12月に入って「自家製麺のゆで太郎」や「洋麺屋 五右衛門」も台北に進出しております。他業種ですが、日本薬局や15分カットのQBハウスさん、カラダファクトリーなど私が来た10年前に比べ、台湾で暮らす日本人にとっては本当に便利になりました。今後も、台湾の日本信仰はもっと広がって行くでしょう。

江戸切りそは 粉から自家製麺
ゆで太郎 YUDETAROU蕎麦麺
台北市仁愛路四段266巷15弄4號
TEL 02-2708-0905
営業時間 11:00〜22:00

ゆであげのスパゲティー
洋麺屋 五右衛門
台北市光復南路290巷1號
TEL 02-2751-1615
営業時間 11:00〜22:00

2012年 お世話になりました〜!
2013年はより一層飛躍できるよう頑張ります〜!!
worldblogtaipei ならびに 忠平企劃 よろしくお願いします!!!