台北最新ラーメン事情2012年春‐Ⅱ

らあめん花月嵐(拉麺花月嵐)

 2012年4月12日のworldblogtaipei台北最新ラーメン事情の第二弾であります。今まで日式拉麺が蔓延していた台北のラーメン市場に風穴を開けたのが、らあめん花月嵐であります。実は以前2002年頃にも「日式豚骨拉麺ブーム」というのがありました。ちょうど私が台湾に来た頃であります。街中いたるところに日式拉麺が出店していました。この理由を考えてみますと、台湾は日本の九州と味覚が似ているところがあり、牛肉麺よりも高く売れるということだったのです。その当時は、某日系食材会社の濃縮豚骨スープを薄めるだけで、豚骨ラーメンが販売できた訳です。所詮、ブームですからパッと出てパッと散りました。散った理由は、濃縮豚骨スープですから、希釈を規定通りに行わず、水を増やして希釈するため美味しくなくなってしまったのです。美味しいものを食べていただくという、飲食店の本文から外れてしまったということです。

 2007年12月台北站2Fに、らあめん花月嵐微風台北車站(台湾第一号店)がOPENしました。開店当初は30分から1時間待ちが普通、ただし、商品、サービスのブレは全くありませんでした。今でもそうですが、料理(拉麺)提供時間、味、温度、非常にすばらしい。私、日本の自宅近くのらあめん花月嵐に行きましたが、日本よりすばらしいと思いました。現在、台湾で8店舗運営しております。

 安定したオペレーションには、訳があります。現在、麺メニュー数8(期間限定含む)、飯メニュー1、サイドメニュー9、セット3、トッピング11、ドリンク10、メニューアイテム総数42です。メニューアイテム数が少ないと料理提供は非常に安定します。また、節毎に期間限定メニューを導入、このメニューでお客様の嗜好を調べ、人気のあるメニューはグランドメニューに投入される仕組みです。

拉麺花月嵐台湾 HP

http://www.gbj-tw.com/index.html

豚そば銀次郎 NT$190 \513

期間限定 俺の鶏そば NT$200 \540

拉麺花月嵐台北ワーナー店


らーめん山頭火・台湾初進出


 らーめん山頭火が2012年4月10日、SOGO台北復興店B2Fに台湾初進出しました。現在、日本30店舗、海外16店舗のラーメンチェーンであります。台湾の日本語情報誌「なるほどザ台湾」では、ラーメン戦国時代が到来、台北に大手チェーンが続々出店とまで書かれております。ここで、チェーンストアについてお話させていただきますが、日本では大手チェーンかもわかりませんが、台湾では単独店であり、チェーンではありません。チェーンストアとは、単一資本で10店舗以上経営する飲食・小売の業態であり、①ドミナント出店とも言われる特定地域に集中出店をし、②仕入力を発揮し、有利な仕入を行い、③自前の物流網を持ち、④データを活用して競争優位のためにシステムを作ることであります。ということで、チェーンが出店ならば、いきなり10店舗出店(ユニクロやダイソーのように)ならわかりますが、1店舗でまずキチッと商売が成立するか?が非常に大切な問題であると思います。1の成功がなければ、チェーンとしての10以上の成功はないということです。

店名:SOGO台北復興館店
住所:台北市忠孝東路三段300号 太平洋SOGO百貨 復興館B2F
TEL:02-2731-7533
営業時間:
月〜金:11:00〜21:30(ラストオーダー21:00)
土日祝:11:00〜22:00(ラストオーダー21:30)

山頭火HP:
http://www.santouka.co.jp/index.html

山頭火SOGO台北復興館店


疑問ばかりのらーめん山頭火・台北第一号店


 私、開店初日昼食で、らーめん山頭火さんお邪魔させていただきました。たしかに、MRT忠孝復興站から直通のSOGO復興店、非常にすばらしい立地でありますが、私から拝見すると疑問ばかりが目立ちます。店舗面積25坪、客席数は26席です。狭いです。レストランビジネスをやられた方はわかると思いますが、26席で実際お客様の席稼働率は、良いお店で2/3であります。実際伺った時は、45分並んで店舗内のお客様の数は、16名です。注文後、ラーメン到着まで30分、新装開店は十分理解しますが、調理場(オープンキッチンなので見えますが、12名)ホール担当者、6名合計18名で運営です。開店したばかりで18人もいて、提供時間30分以上とは、完全にトレーニング不足であります。食べるのに、15〜20分程度を要しますので、15分として滞在時間45分。1時間に、21人しか食事できないということになります。営業時間、11時〜21時、実動10時間、MAX客数210人であります。

 メニューはどうなの?というお話ですが、グランドメニューは、麺メニュー数24、飯メニュー2、サイドメニュー10、セットメニュー18、トッピング4、ドリンク8、メニューアイテム総数66。らあめん花月嵐の約1.6倍、ただし台北車站と比べて、客席数は1/3程度であります。26席のお店で、66のメニューが必要か?まさに疑問であります。ただし、開店当日は、麺5種類しかやっていませんでしたが?

 商品はと言いますと、さすが山頭火美味しいですが、なんか?が足りない感じであります。一番はラーメンの温度でした。美味しい、まずいは温度に関係します。丼の温度50℃、これは日本式にしっかり丼を温めているのでしょう。麺の温度は、42℃、お風呂の温度でした。(なぜ温度がわかるかと言いますと、普段から赤外線の温度計を持ち歩いて瞬時に測ることが可能にしております。)塩ラーメン、醤油ラーメン、味噌ラーメンと食しましたが、塩、醤油は「塩分不足」を感じました。また、商品提供も、半月の御盆で提供(写真参照)、見た目は良いのですが購入費用が高く、ラーメンを御盆にのせた時に滑りやすいので、危険です。

醤油ラーメン(中碗)NT$220 \594

塩ラーメン(中碗)NT$220 \594


食習慣の違い

 
 食習慣の違いも重要なポイントです。日本のラーメン屋さんのメニューですと、ラーメン・餃子・ご飯物一緒に食べるなんて普通ですが、台湾・中華圏では、麺は麺で1つの主食、餃子(水餃子、鍋貼等)は1つの主食、飯は飯で一つの主食としてみています。拉麺を食べに行って餃子・ご飯物を食べると言うことは、日本人的な感覚からすると、白いご飯&パン&うどんを一緒に食べているような感じです。それおかしいよ〜となるのですが、セットメニュー18は異常です。ただし、日本では考えられない「拉麺+とんかつ」はあるのです。副食(おかず)という考えなのです。この点は、日本人的には理解しにくいところであります。

 総括しますと、塩分濃度にしろ、麺の温度にしろ、メニュー構成にしろ、台湾にいる日本人の強力な意見で構成され、真の台湾市場の声が打ち消されている、しいて言えば台湾市場(マーケット)を無視していると思います。台湾市場は受け入れてくれるでしょうか?台湾人口2,300万人、1年に約110万人の方々が日本に旅行に行き、食事をする国です。20年間で全国民が日本旅行をする計算になります。合わせる部分と、ここは日本という部分をうまく使わないと成長はないでしょう。

 台湾拉麺戦争と言われますが、これからいかに成長するかが重要なポイントです。この拉麺の件で私、日本で同じような空気を吸ったことがあります。台湾にも進出しているミスター・ドーナッツとダンキン・ドーナツ(当初日本ではセゾングループ)の進出当時の匂いと同じ空気を感じます。これから数年後、チェーンとして成長した時に、台湾競合やローカル店との戦いが戦国時代であり、「○○○敗れたり」とならない為には、市場(マーケット)グリップがどこにあるか?チェーンストアとしての基本はどこか?商品の特徴・特性はどこか?現段階でしっかり理解し、計画的に進められた企業・チェーンが本当に成長して行くのでしょう!次回、台北最新ラーメン事情‐Ⅲ2012年春にご期待下さい!!

なるほどザ台湾 2012年4月号

参考HP:週刊Food 104
 
http://www.sayko.co.jp/article/2020/2.html