第33回ウィリアム・ジョーンズカップ総括とオリンピック予選

2012年ロンドン・オリンピック

 2012年にロンドンでオリンピックが開催される。今年、2011年はどんな年かというと9月15日より中国・武漢において第26回FIFA-ASIA男子バスケット選手権が開催され、優勝した1国または地域がアジア代表として、ロンドン・オリンピックに参加できる。ちなみに、女子は8月21日より日本・長崎で開催される第24回FIFA-ASIA女子バスケット選手権で優勝するとロンドン・オリンピックに参加できる。
 ちなみに日本代表男子は過去6回オリンピックに出場しているが、最後に出場したのが1976年のモントリオール五輪、日本代表女子は3回出場、1976年のモントリオール五輪では5位入賞、ただし2004年のアテネ五輪以後出場していない。
 今回のロンドン五輪の出場地域数は12、開催国イギリス、2010年トルコで開催された世界選手権で優勝したアメリカ、アメリカ大陸2、アフリカ1、欧州2、オセアニア1、アジア1、最終予選上位3である。アジアで優勝もしくは2位・3位に入り最終予選で3位以内でないと出場できない。アジア地域からバスケット男子で五輪出場は非常に厳しい道なのである。
 日本のアジアのポジションはというと、最新のFIFAランキングでは、中国10位、前回のアジア選手権で優勝したイランが20位、レバノンが24位、カタールが29位、韓国が31位、ヨルダンが32位、日本33位、40位カザフスタン、41位台湾、50位インド、52位クエート、53位フィリピンと続く。この中でイラン、韓国、ヨルダン、フィリピンが今回の第33回ウィリアム・ジョーンズカップに代表TEAMを送り込んできた。9月15日から開催される武漢のアジア五輪予選の調整のためである。

第33回ジョーンズカップ参加の日本TEAM

今回参加した日本TEAMはどうか?というと正直代表ではない。ただし、今年日本バスケットボール協会、ウィスマン監督は今までにない強化の方針を打ち出した。男子42人を日本代表候補として召集。そのうちグループ1(日本代表として実績、実力を持ち合わせた選手・17名)グループ2(国際経験や代表活動で実績を積むことによりグループ1が見込まれる選手・14名)グループ3(若手で将来代表として活躍が期待できる選手・11名)である。五輪予選を前に選手達にコンディショニングを含め競争させることと、今までの強化は五輪予選が終了したら休止ではなく、2年後のアジアから3TEAM参加できる世界選手権まで強化を継続するためのシステムである。グループ1のメンバーは、7月末からベネズエラ、メキシコに遠征、強化試合を行ってきた。グループ2・3のメンバー25人中8名は8月13日から中国・深センで開催されているユニバーシアードに日本代表・男子として参加。今回のジョーンズカップ参加メンバーはグループ1候補の選手、(正中、太田選手は中米遠征後ジョーンズカップに合流)そして高校生選手3名である。高校生選手がアジアの代表選手と戦うというのも初めてである。今回ジョーンズカップに参加した選手を写真と私の感想を含め紹介したいと思う。

問題発生 

 8月6日より14日まで開催された第33回ウイリアム・ジョーンズカップ男子、日本で調整合宿を行い、8月4日に台湾到着。他国はほとんどが代表TEAM。日本はほとんどのメンバーが初めて一緒に試合をする状態。松山空港到着後、早速台北日本人学校で練習。この日にいきなり問題発生。南アフリカの出場キャンセルにより、試合日程変更。当初、8TEAM総当戦が、7TEAM総当の予選、順位を決定し、再度順位決定戦を行うとのこと。よってほとんどのTEAMが9試合連戦ということになる。日本でも経験のない各国代表相手に9連戦。選手も少しモチベーションが落ち、東野コーチを始めスタッフはどのように選手を使うか?これも大会を乗り切るために非常に大切なポイントとなった。
 ただし日本TEAMは14名エントリー。ジョーンズカップ規定では、1試合12名登録である。大会3日目には、中米遠征から正中選手、太田選手が合流し、4日目のヨルダン戦から出場し、2人ずつ交代で休むことができた。その後、ウィスマン監督も合流し最終日まで元気に戦った。


☆選手紹介☆

#4 岡田優介 所属 トヨタ自動車アルバルク 出身 青山学院大学 長谷川組

 Mrジョーンズカップ UAE戦では、10‐3P 33得点。ジョーンズカップ出場5回目 過去には得点王も取り、台湾においては絶大なる人気のある選手である。国際大会、ジョーンズカップ初参加の選手が多い中で、高校生を含め非常にTEAMをまとめた。このキャプテンシーが今回5位の重要なポイントである。文武両道・公認会計士の資格も取得している。

#5 野口大介 所属 北海道 出身 日本体育大学 清水系・睦組

 今大会唯一の日本体育大学出身、私の後輩である。髪型はドレッドヘアー、ボブマーリーを思わせるが、実は真面目で後輩の面倒見は非常によい。TEAMキャプテンとして立派に役割を果たす。13日のマレーシア戦では24P(5‐3P)台湾のマスコミには、「日本の野獣」と言われた。ちなみに「野獣」とは台湾代表のシューター#12林志傑(Chih Chieh Lin)選手である。

#6 太田敦也 所属 bj浜松三河フェニックス 出身 日本大学 飯沼組 

 私の地元、市立柏高校出身、飯沼先生に鍛えられた。ちなみに飯沼先生と東海大学の陸川監督は日本体育大学で同級生。普段は非常に温厚であるが、試合になると燃える!中米遠征からジョーンズカップに参加。Bjリーグの試合では、日本人にマッチアップすることがなく、「外人は任せて下さい!」と言い切る。

#7 酒井泰滋 所属 日立サンロッカーズ 出身 慶応義塾大学 バンコク組

 ジョーンズカップ3回目、バンコクユニバ組である。前回ジョーンズカップ参加の時は、最終試合に20得点、台湾でも非常に人気の選手。普段は非常に寡黙である。今回はディフェンスが買われ、スタートとして出場する機会が非常に多かった。

#9 正中岳城 所属 トヨタ自動車アルバクス 出身 青山学院大学 長谷川組

 代表中米遠征から合流、非常に疲れていたと思うが試合では気迫爆発、若いフォワード陣を引っ張る。最終戦では、黄金のフリースローを沈め日本を5位に導く。実は関西弁で関西出身の選手とは、アウンの呼吸があると以前、国士舘大学の前山監督が言っていた。

#10 松井啓十郎 所属 トヨタ自動車アルバルク 出身 コロンビア大学 拓磨組

 今回参加の伊藤拓磨コーチと同じモントロス・クリスチャン高校出身の次男坊、伊藤大司君が三男、富樫祐樹君が末っ子である。同じアメリカの高校出身者が代表に選ばれることは非常に珍しい。アメリカで高校・大学を送っている選手はタフである。今回も試合ごとに調子を上げ、決めるべきポイントのシュートの集中力はすばらしい。

#11 西村文男 所属 日立サンロッカーズ 出身 東海大学 陸川組

 明るい性格だが、ゲームとなると集中する。最終試合の2Qでは1人で13得点。高校の先輩、石崎選手を尊敬する。伊藤大司君とは、ミニ・中学と同級生。2人が一緒にプレーするのは10年ぶり、お母様も日本より来台、熱烈応援されていました!


#12 伊藤大司 所属 トヨタ自動車アルバルク 出身 ポートランド大学 拓磨組

 NCAA1部名門ポートランド大学でスタートガードであった。非常に安定感のあるガードである。兄、琢磨コーチと一緒にいるとやっぱり兄弟という感じ。海外生活がやはり彼のタフさを生んでいる。富樫選手を非常に可愛がっていた。底抜けに明るい性格である。

#14 荒尾岳 所属 トヨタ自動車アルバルク 出身 青山学院大学 長谷川組

 ジョーンズカップ2回目、前回の来台より身体がふたまわり大きくなった感じ。昼はコートを爆走、リバウンドをもぎ取り、夜は新荘のホテル近くを自転車で爆走(買物)とのこと。リバウンド・ルーズボール・スクリーンアウトとにかくパワフルである。

#15 鎌田裕也 所属 大東文化大学
  今回唯一の大学生選手、同時期にユニバーシアードがあり本来ユニバに選ばれる選手なのであるが、ジョーンズカップに選ばれた。当初は国際試合に戸惑いがあったが、心に秘めたガッツが終盤見られた。非常に大切なオフェンスリバウンドを拾っていた。

#16 ショーン・ヒンクリー 所属リンク栃木ブレックス 出身ウエストトランス高校

 父アメリカ人、母日本人、高校までアメリカで過ごし、ブレックスに入団。日本国籍である。今回、各国に一番マークされたフォワードである。Go to Basket とにかく攻める。日本では栃木で出場機会に恵まれないが、今後日本の代表にあるべく選手である。非常に真面目で律義、日本人の心を持っている。サッカーのラモス選手のようになるであろう。日本語は勉強中だが、母の影響で話していることはほとんどわかる。今回覚えた日本語は「チャらい!」明るくお兄さん選手に非常に可愛がられている。

#17 橋本晃佑 所属 宇都宮工業高校3年 千村組

 今回選ばれた高校生選手の1人。秋田・能代インターハイで宇都宮工業高校をベスト4に導く。高校ではセンターだが、今大会は4番で出場することも多い。竹内兄弟の後を継ぐ大型フォワードになるであろう。国際大会も物怖じしない活躍であった。

#18 富樫勇樹 所属 モントロス・クリスチャン高校 拓磨組

 新潟県出身、本丸中学で全国制覇後、単身アメリカの高校へ進学。モントロス・クリスチャン高校の2年生(日本在籍なら3年)9月より最終学年。物怖じせず、各国代表に全力で攻めて行きます。実は、富樫勇樹君の父、新潟・本丸中学の富樫英樹先生とは、大学時代一緒にバスケットやってます。最近は京北高校・田渡選手とも交流があるようです。


#19 渡邊雄太 所属 尽誠学園高校

 高校2年生で、日本代表は初じゃないでしょうか?身長195cm 普通は高校でセンターなのでしょうが?しなやかなフォワード。中学時代は160cmしかなく、それが高じてオールラウンダー。日本の将来のピッペンである。母はシャンソン化粧品で活躍した、久保田久美さん。1983年世界選手権に日本代表として出場。代表2世選手である。

次回はスタッフ編です〜お楽しみ〜!!