台湾・東京電力福島第一原子力発電所の事故に関する説明会

台湾・東京電力福島第一原子力発電所の事故に関する説明会

5月10日(火)14時より、日本交流協会(台湾における日本大使館業務を遂行)の主催により台北国際会議中心にて「東京電力福島第一原子力発電所の事故に関する説明会」が開催された。冒頭、日本交流協会台北事務所 田辺副代表の挨拶。台湾の方々には約160億円の義援金について感謝の意を示された。その後、日本より独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)佐藤達夫理事による、東日本大震災から福島原発の経緯報告と現状報告。交流協会台北事務所経済部(農林水産担当)の今西直人主任より、日本における農水産物の禁止状況、生鮮産品の放射能測定結果、漁獲安全検査、工業製品の安全、飲料水の安全標準、原子力災害本部の食品に対する指示通達、台湾に輸入される日本食材の検査等の実際について説明された。

 現在日本より台湾に輸入されている農水産物、加工食品は、限定産地(福島、栃木、茨城、群馬、千葉)で製造されたものは台湾の規定により輸入されておらず、日本においても検査、台湾当局も輸入手続きの中でサンプル検査を十分行っているものであり、台湾国内で流通する日本食材は安全である。また農産物においては日本国内で問題のある産地の食材は輸入されておらず、水産物においても福島原発近くの福島県では現在検査以外、漁業活動を休止している実態を台湾政府関係者、台湾企業、台湾報道関係者、日系企業に明確な説明を行った。

質疑・応答

 説明会参加者からの質疑応答では、今後どのぐらいの時期で終息するのか?とか工業製品は安全か?との質問が出た。中でも旅行業者協会の方の質問は切実で、昨年比で現段階における台湾から日本への旅行者は50%(東日本大震災前は100%程度で推移と予測・実際は前年比25%程度)、これから夏休みに向けて「電力(停電)断水」などの問題は無いか?との質問には会社経営上、切実な問題である。西日本においても夏場の電力不足が懸念される中、旅行業者には非常につらい夏となるだろう。

香港の「和食ビジネス・倒産の危機」 

 msn産経ニュースやNHKワールド(海外ニュースTV)では、「このままでは100店以上閉鎖」香港の「和食ビジネス」倒産の危機というニュースを最近よく目にする。NHKのニュースでは最近同じ画像で週2回報道された。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110407/biz11040710350008-n1.htm

はたして、これは本当のことなのか?正直私は、台湾・台北にて飲食のコンサルタント業を営み、現場を見ている訳ではない。香港には600店舗以上の和食レストランがあるという。たしかに回転寿司やラーメン店、焼肉など台北以上に非常に多いと感じる。海外における日本食の成長度では世界屈指の都市である。なぜ、香港がこれほど発達したのか?ひとつは2000年から中国に属し、ただし、住民の所得は中国でトップであり、「新鮮・安全・健康」という中華料理にはない要素をもつ日本食に市民が飛びついた結果である。もう一つは、香港商圏は非常に狭いエリアに600万人が暮らしている。人の集まる商圏がそこにあったが、「新鮮・安全・健康」を気にする市民の食事がなかったのだろう。もう一つ中国は日本の食材が集まりやすい環境にある。なぜなら、日本の大手チェーンの業務用食材は、中国で製造していることが多い。よって、関税がかからず国内移動で日本式食材を手にいれることができる。

福島原発事故が原因で、100店舗閉鎖になったりするのだろうか?正直、理由付け以外に何者もないと私は思う。台北でも、台湾の方が何店舗も日本食レストランを新装開店し、同数ぐらい閉店してゆく。本当に生き残るのは、レストランコンセプトを持った日本企業と、商品に対してすごい情熱を持ったごく一部の成功者である。今回の香港和食レストランの倒産は、家賃の関係を含め撤退が決まっていた店舗・会社が福島原発の売上低下を理由に売上が減少したという理由付け以外考え難い。また、NHKのニュース報道はまさに風評被害をあおるものであり、世界のNHKらしくない報道である。農林水産省初め、各国大使館はなぜ抗議しないのか?事実を報道するのが日本の代表 NHKである!